2008.6.25.
今日いつもは通らない道を歩いていたら、前から来たおっさんが、人とすれちがうたびに何かブツブツつぶやいている。何かと思って耳をかたむけると「ナンバー・ファイブだな」とか「バラではないな」とか「ふろには毎日はいるもんだ」と言っているのが聞こえる。
これはもしかしたら香水師ではないか、と思って、たまたま母からあずかっていた香水を道にこぼして歩いていたら、案の定、おっさんがもどってきて「誰だろう、こんなもったいないことをするのは。これは、名作中の名作ナンバー・スリーに違いないのに」と言って、道路の上をくんくんかいでいる。
やっぱり香水師だったか、と確信を深めて歩いていくと、黒くてでかい犬をつれて歩いているひげのおっさんがいたので、「この先に、犬みたいに道路をかいでいる面白い人がいますよ」と言ったら、「ド・ファ・ラ・シ・ラ・ソ、ミ・ミ・シ・ラ・ソ・レ」と、ぼくの言ったことを音階にして言い返してきた。たまには知らない道を歩くのもスリリングで面白いと思った。
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