2009.3.13.

たまには酸っぱいものでも食べるか、という気分になってキッチンに行ったら、必ずしも甘くなさそうなオレンジがあった。半分くらいまでナイフを入れたところで、ピンポーンと玄関のベルがなって「ただいまー。いってきまーす」という声がする。

誰かが家を間違えたのだけど、照れ隠しにあいさつをしていったのかな、と思って、ドアを開けると、茶色い袋に包まれた液体入りのビンがあった。よく見たら手紙も入っていて「世界旅行の途中ですが、近くまで来たので、寄りました。ちょっとしたお土産があります。リンゴより」とある。

「まあ、元気ならよかった」と思いながらビンを見たけど、中身がよくわからないので鼻を近付けてみたけど、無臭。しょうがないから、ちょうど半分口を開けていたオレンジに飲ませたら、突然オレンジがくしゃみを始めて止まらなくなった。このビンは捨てようと考えていたら、くしゃみのおかげで部屋がすっぱいような、さわやかな香り。これはこれでいいか、と考え直して、ぼくの鼻炎の薬をオレンジに飲ませてあげた。


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